
困難を乗り越えるチームはどう作るのか。
仁愛会がワダチラボと進める組織づくり
「これをやれば正解」がなかったコロナ禍
浦添総合病院を中心に、医療・介護・健診事業を展開し、沖縄の地域医療を支える仁愛会。救命救急センターを持つ病院として三次救急まで対応し、ドクターヘリも運用しています。そんな仁愛会が、人材育成の方向性を大きく見直すきっかけとなったのがコロナ禍でした。
「当時は本当に疲弊していました。現場はひっ迫し、医療従事者というだけで買い物先で『来るな』と言われる。心も体も疲れていました。」そう振り返るのは、人事・人材開発課 課長の松尾のぞみさん。

心がすり減る環境では、他者を思いやる余裕も失われていく。その危機感に直面したことで、これまで行っていたノウハウの研修だけでなく、「どうありたいか」「チームでどう支え合うか」を見つめ直す研修を取り入れる必要がありました。
【あるべき管理者像】から逆算して研修を設計
ではどんな研修がいいのか。まずは階級ごとの【あるべき姿】を整理した時、管理職に向けた研修が特に必要だと感じたそうです。
「管理職には人材育成が求められます。評価もしなくてはいけない。だからこそ管理職自身のマインドを育てることがまず重要だと感じました。」そう話すのは人事部部長の渡久地恭平さん。

そこで外部講師第一弾として担当したのが、ワダチラボでした。「ワダチラボさんは前任者の推薦でした。最終的な決め手は『人柄』だったと聞いています。」 こうして2024年より、アンガーマネジメント・コミュニケーション研修やキャリアデザイン研修など、様々な研修を実施。さらに今年からは、年間で研修スケジュールを決めるスタイルに切り替わりました。
「実際に研修を見て、前任者が言っていたことが分かったんです。リムさんのスケジュールが埋まってしまっては困るので、今年からは年間で押さえさせていただきました。」
面談前、5分で予習できるペライチが活躍
一番印象に残っている研修を尋ねると、お二人とも「定着支援に向けた面談研修」との答えが。仁愛会には年に3回の人事考課面談がありますが、面談に課題を感じていたそうです。
「評価に関わる面談ということもあり、ジャッジの場になってしまっていたんです。受ける側は評価が低いと落ち込んでしまうし、面談をやる側も伝え方を学んだことがない。離職率を下げる意味でも、面談の質を上げることは重要でした。」

そこでワダチラボは、スタイル別コミュニケーションやロールプレイングを交えながら、実践的な面談研修を実施。中でも現場に好評だったのが、《ペライチ》のプリント資料でした。そこにはDiSC®︎理論(行動傾向分析モデル)における、スタイル別の性格やNG語録などがまとまっており、ささっと確認できることが好評なのだとか。
「面談前に資料を読み込む時間はありません。けれどペライチの資料があれば、とりあえず『NG発言』には気を付けよう!と決めることができるみたいで。学びが実践につながっています。」
忙しくてもできる業務改善
次に印象に残ったと話すのは「業務改善研修」。実は仁愛会、以前は業務改善活動の習慣があったものの、コロナ禍で衰退してしまったのだそうです。
「みんな目の前の業務に精一杯でした。そこで改めて『業務改善をやりましょう』と言われると、重いんですよね。」そこでワダチラボの研修では、最初のハードルを下げることを意識。「前よりちょっとマシ、も業務改善」というキャッチコピーを紹介し、具体例として「シュレッダーの位置を変える」という手法を紹介しました。
「それを聞いたスタッフの一人が、実際にシュレッダーを動かしたんです。さらにゴミ箱の位置を変えるなど、小さな《前よりちょっとマシ》を見つけて行動するようになりました。その行動は2か月後に見に行った時も続いていたんです。」こうして現場では次々と【小さな改善】が生まれていきました。
研修が生んだ副次的効果
松尾さんは、ワダチラボの研修についてこう話します。「盛り上げるところは盛り上げる。締めるところはちゃんと締める。相手やタイミングを見ながら、絶対に持ち帰ってほしいギフトはしっかり届けてくれるんです。」
その距離感に加え、忙しい現場でも実践につながる伝え方も、今の仁愛会に合っているのだと話しました。さらに研修による副次的な効果も感じているとか。
「コロナ禍以降、飲み会がなくなったこともあり、同じ役職同士が話す機会が減っていました。そんな中、研修が『つながりの場』にもなったと感じています。研修中は喋りだしたら止まらないことも。(笑)研修をきっかけに話すようになった別部署の管理職同士が、相談し合う様子も見られるようになりました。」
研修により縦・横・斜めのつながりが増えたという仁愛会。今後はさらに、個々のスキルを細かく見える化していきたいとのこと。強みをどう活かし、弱みをどう補い合うか。そんな対話ができる組織を目指しているそうです。

仁愛会の取り組みは、「完璧な管理職」を育てるのではなく、小さな改善を積み重ね、支え合える関係性をつくることで、組織は変わっていけることを示していました。その変革こそが、大きな困難をも乗り越えられる組織づくりにつながるのかもしれません。
今回、取材を受けてくれたのは「社会医療法人 仁愛会」の皆さんです!

渡久地 恭平さん
社会医療法人 仁愛会
人事部部長

松尾 のぞみさん
社会医療法人 仁愛会
人事・人材開発課 課長











医療現場というと、高度な技術や専門知識が求められる世界。しかし、どれだけ医療が進歩しても、現場を支えているのは「人」。
1500人を超える職員が働く社会医療法人仁愛会では、近年「人を育てる組織づくり」に力を入れています。そのきっかけとなったのは、コロナ禍による現場の疲弊でした。
知識や技術だけでは乗り越えられない状況に直面した時、改めて大切なのは、ひとりひとりの在り方や、チームで支え合う仕組みだったといいます。